スポーツ整形外科
スポーツ整形外科
スポーツに関係して発生する運動器のトラブルは、大きく「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」に分けることができます。
「スポーツ外傷」は明らかな受傷起点のある「けが」であり、外から加わる1回の大きな力(衝撃)によって起こる捻挫や脱臼、骨折などをいいます。
これに対して「スポーツ障害」は、繰り返して小さな力(ストレス)が筋肉や骨、靭帯、関節軟骨などに加わることで起こります。
一定の部位で慢性的な疼痛や動かしにくさが持続している状態で、原因としては使いすぎ(オーバーユース)によるものが多くみられます。
投球動作の反復により、肩の腱板、関節唇、あるいは成長期の骨端線を痛める疾患の総称です。肩関節だけではなく、股関節や体幹の柔軟性の不足が肩関節への過負荷を招くため、リハビリによる全身の動作解析と修正が不可欠です。
出典: 日本整形外科学会 診療ガイドライン
上腕骨骨頭の受け皿である肩甲骨関節窩にある軟骨(関節唇)が剥がれる損傷で、特に上方部の損傷(SLAP)は投球やスパイクなどの頭上動作で鋭い痛みが生じます。関節の不安定感やクリック感を伴うことが多く、競技レベルに合わせた慎重なリハビリや手術の選択が必要です。
出典: 日本スポーツ整形外科学会(JOSKAS-JOSSM)
一度の脱臼を機に関節唇が剥がれ(Bankart損傷)、軽微な動作で脱臼を繰り返す状態です。特に若年者は再発率が極めて高く、スポーツ復帰を目指す場合は内視鏡による関節唇修復術が検討されるケースが多くあります。
出典: 日本整形外科学会
肩を支える4つの筋肉(腱板)が、外傷や加齢に伴う変性で断裂した状態です。挙上時の痛みや夜間痛が特徴で、損傷の程度や競技種目、年齢を考慮し、保存療法か手術療法かを適切に判断します。
出典: 日本整形外科学会
内側の靭帯損傷、外側の離断性骨軟骨炎、後方の衝突障害など、肘の部位により病態が異なります。特に外側型(離断性骨軟骨炎)は進行すると深刻な障害を残すため、早期のエコー検査によるスクリーニングが重要です。
出典: 日本整形外科学会 投球障害肘診療ガイドライン
手首を伸ばす筋肉の付け根が痛み、物をつかんで持ち上げる動作などで肘の外側が痛みます。テニス愛好家のほか、デスクワークや家事で手首を酷使する方にも多く、ストレッチや体外衝撃波療法が有効です。
出典: 日本整形外科学会
肘の内側にある筋肉の付け根の炎症で、ゴルフのスイングやテニスのフォアハンドなどで生じます。手首を曲げる動作で痛みが出るため、前腕筋群の柔軟性改善と、インパクト時の負荷を軽減するフォーム修正が鍵となります。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
手首の小指側にある軟骨・靭帯組織の損傷で、手首を捻る動作や重い物を持つ際に痛みが生じます。ラケット競技や体操競技で多く、サポーターによる固定や、前腕の回転動作を安定させるリハビリを行います。
出典: 日本手外科学会
成長期の激しいスポーツ活動による、腰椎の後方部分(関節突起間部)の疲労骨折です。初期段階であればコルセットと運動制限で完治を目指せますが、見逃すと一生消えない「分離症」となり、慢性腰痛の原因となります。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
椎間板の中身が飛び出し神経を圧迫することで、腰痛や足のしびれ、筋力低下を引き起こします。過度な前屈や捻転が引き金となりますが、多くは適切なリハビリと薬物療法で改善し、手術が必要なケースは限定的です。
出典: 日本整形外科学会 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
特定の疾患がなく、腰周囲の筋肉の過度な緊張や疲労によって起こる腰痛です。当院ではリハビリスタッフが姿勢の崩れや体幹深層筋の機能不全を評価し、根本的な動作改善やセルフストレッチを指導します。
骨盤の関節である仙腸関節に微小なズレや炎症が生じ、腰の下の方や臀部に痛みが出ます。片脚立ちの動作が多い競技や、体幹の回旋が強いスポーツで多く、徒手療法や骨盤ベルトによる固定が効果的です。
出典: 日本仙腸関節研究会
サッカー選手等に多く見られ、一度発症すると慢性化しやすい股関節周囲の痛みです。体幹と下肢の筋力バランスの不一致が主な原因であり、局所だけでなく動きの連動性を再構築する包括的なリハビリが必要です。
出典: 日本整形外科学会
股関節の骨の形状により、動作時に骨同士が衝突し軟骨や関節唇を損傷する疾患です。深くしゃがむ動作で痛みを感じ、放置すると将来の変形性股関節症の原因となるため、動作修正による保存療法を優先します。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
太もも裏の筋肉が、全力疾走や急停止時に強く引き伸ばされて損傷します。再発率が極めて高いため、痛みが取れた後も筋力の左右差の解消や、段階的なスプリント訓練を含む慎重なプログラムが必要です。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
ジャンプ着地や切り返し時に膝を捻って断裂する、重症度の高い外傷です。スポーツ継続を目指す場合は靭帯再建術を行うのが一般的で、術後は理学療法士による約6〜9ヶ月の専門的リハビリが必須となります。
出典: 日本整形外科学会 膝前十字靱帯損傷診療ガイドライン
膝の外側から衝撃を受けるなど、膝が内側に折れた際に損傷します。膝の靭帯損傷の中では頻度が高く、多くは装具固定とリハビリテーションによる保存療法で、良好な競技復帰が可能です。
出典: 日本整形外科学会
膝のクッションである半月板が、衝撃や捻転負荷で断裂する状態です。膝の引っかかりや痛み、水が溜まる等の症状が出ます。MRI等で詳細に評価し、縫合や切除、あるいは保存療法など方針を慎重に決定します。
出典: 日本整形外科学会
膝のお皿が外側に外れる怪我で、若年女性に多く見られます。脱臼を繰り返す「反復性脱臼」に移行しやすいため、膝の内側の筋肉強化や動作のクセを直すリハビリが、再発予防において極めて重要です。
出典: 日本整形外科学会
成長期の膝前面の痛みで、膝蓋腱の付着部が突出して痛みが生じます。大腿四頭筋の柔軟性を高めることが根本治療であり、運動量の調節を行いながら成長期を乗り切るための指導を行います。
出典: 日本整形外科学会
バレーボールやバスケットボールなど、跳躍動作の繰り返しにより膝蓋腱に炎症が生じます。腱の変性が進むと難治性となることがありますが、リハビリのほかに体外衝撃波療法が非常に有効です。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
長距離ランナーに多く、膝の外側にある靭帯が大腿骨の外側と擦れることで痛みが生じます。フォームの崩れや、お尻の筋肉(中臀筋など)の弱さが影響するため、それらの強化とフォーム修正を行います。
出典: 日本整形外科学会
足首を内側に捻ることで靭帯が損傷する疾患です。「たかが捻挫」と放置すると関節の緩みが残り、将来的に変形性足関節症を招くため、初期の適切な固定とバランス感覚を取り戻す訓練が重要です。
出典: 日本整形外科学会
朝起きての第一歩目に、かかとの裏に激痛が走るのが特徴です。マラソン等の過負荷や足の形状(扁平足)が原因であり、リハビリでのストレッチやインソール、難治性なら体外衝撃波療法が有効です。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
すねの内側が走ると痛む障害で、陸上競技などの初心者に多く見られます。足の形や筋肉の硬さ、練習環境の変化などが原因となり、早期の負荷調節と動作改善が早期復帰に繋がります。
出典: 日本整形外科学会
10歳前後の成長期のかかとの痛みです。ジャンプ動作や走行後に症状が出やすく、アキレス腱の柔軟性不足が要因です。適切なストレッチと、踵の衝撃を和らげる装具(ヒールパッド)で管理します。
出典: 日本整形外科学会
足の人差し指の付け根が、血流障害により壊死し変形する疾患です。思春期の女性に多く、足先の痛みが特徴です。進行すると関節変形を招くため、早期の免荷やインソールによる加圧軽減が重要です。
出典: 日本整形外科学会
足の甲にある関節に強い力が加わり、靭帯損傷や骨折を起こした状態です。正確な診断が難しく見逃されると慢性の痛みを残すことがあるため、CTやMRIによる精査が不可欠な疾患です。
出典: 日本整形外科学会
膝や肘の軟骨が血流不足により剥がれ落ちる疾患です。スポーツ中の繰り返しの衝撃が原因となり、剥がれた骨片が関節内で「関節ねずみ」として動きを妨げることもあります。早期治療により自然治癒が期待できます。
出典: 日本整形外科学会
筋膜に囲まれた区画内の圧力が上昇し、血流や神経が障害される緊急疾患です。激しい打撲後の腫れや、長時間のスポーツ後の激痛がサインとなります。放置すると組織が壊死するため、迅速な判断が必要です。
出典: 日本骨折治療学会
過去の靭帯損傷や、長年の酷使が原因で、通常より早く関節の軟骨がすり減ってしまう状態です。当院では保存療法に加え、PRPなどの再生医療によるアプローチも選択肢として提供しています。
出典: 日本整形外科学会
野球肘の中でも特に重症化しやすい疾患で、肘の外側の軟骨が剥がれます。初期は無症状なことが多いため、少年野球における定期的なエコー検診による早期発見と、徹底した投球制限が重要です。
出典: 日本スポーツ整形外科学会
当院では、医師による正確な診断と、理学療法士を含めたリハビリスタッフによる専門的な評価を組み合わせています。 単に痛みを取るだけでなく、「なぜ痛めたのか」という原因を全身の動作から見つけ出し、競技復帰から再発予防までをトータルでサポートいたします。
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